
家の査定を依頼する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。なんとなく依頼して結果を鵜呑みにしてしまうと、売却で損をしてしまいかねません。
本記事では家の査定依頼における注意点を徹底解説します。依頼方法や事前に確認すべきことも紹介しているので、査定で失敗したくない方はチェックしてみてください。
目次
家の査定はどこに頼む?方法は2つ

家の売却を目的としている場合は、不動産会社に無料査定を依頼しましょう。査定方法には机上査定と訪問査定があるため、それぞれの特徴を解説します。
査定は不動産会社に頼もう
家を売却するときの査定は、不動産会社に依頼するのが一般的。査定が無料で受けられるのは、不動産会社には契約成立後に仲介手数料をもらう仕組みがあるためです。
なお、不動産鑑定士に依頼する不動産鑑定は別物。裁判や相続などに利用できる公的な評価を行ってくれますが、1件あたり数十万円かかることもあります。売却が目的の場合は、不動産会社の無料査定を利用しましょう。
机上査定と訪問査定
不動産の査定には、机上査定と訪問査定があります。
机上査定は、物件の住所・面積・築年数などのデータや過去の取引事例をもとに、おおよその査定額を算出する方法です。AIによる簡易査定なら、匿名でも査定額の目安がわかります。机上査定を利用する場合は、複数社の査定額を比較しやすい不動産一括査定サイトを利用するのが便利です。
一方、訪問査定は、担当者が現地を訪れて、建物の状態・日当たり・眺望・周辺環境まで確認したうえで査定額を算出する方法。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 机上査定 | ・手軽に依頼できる ・数日以内に結果がわかる |
・現地調査がないため精度が低い ・実際の売却価格と差が出やすい |
| 訪問査定 | ・実際の状態を踏まえているので精度が高い ・担当者の対応や相性を確認できる |
・査定完了までに時間がかかる ・書類準備や立ち会いの手間がかかる |
家の査定を依頼する際の注意点5つ

家の査定を依頼する際、必ず複数社を比較することが大切です。また査定額の根拠を確認し、物件に瑕疵がある場合は忘れずに伝えましょう。加えて独断でのリフォームは控え、アピールポイントや希望は積極的に伝えるのが有効です。
1.査定は複数社に依頼して比較する
家の査定は、必ず複数の不動産会社に依頼することが大切です。査定額には明確な基準がなく、不動産会社によって金額が異なります。
「マンション売却に強い」「戸建てに特化している」など、会社によって実績や得意分野が異なるため、査定結果には数百万円以上の差が出ることもあります。複数の査定額を比べて相場感をつかみ、適正な価格で売却活動を始めることが重要です。
2.査定額を鵜呑みにせず根拠を確認する
不動産会社から提示された査定額の根拠を確認することも必要です。なかには契約を取りたいがために、根拠のない高額査定を出す会社もあります。その金額を信じて売り出すと、売れ残った結果値下げを余儀なくされ、損失を被ることになりかねません。
「なぜその金額なのか?」を担当者にたずね、不明点があれば積極的に質問しましょう。査定額の高さに惑わされず、納得できる理由があるかどうかで会社を選ぶと安心です。
3.物件の瑕疵は隠さず正確に伝える
家を査定してもらうときは、瑕疵を正確に伝えることも重要です。瑕疵とは、雨漏りやシロアリ被害、壁のひび割れ、事故物件など住宅の欠陥や不具合のこと。隠すと売却後にトラブルになり、損害賠償を請求されることもあります。
小さな瑕疵でも自己判断せず、不動産会社に伝えましょう。トラブル防止につながるだけでなく、場合によっては改修のサポートを受けられることもあります。
4.査定前に独断でリフォームしない
「リフォームをすれば査定額が上がるのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、査定前の大掛かりなリフォームは原則不要です。リフォームには数十万〜数百万円かかりますが、その分が査定額に反映されるとは限りません。
例えば50万円かけてリフォームをしたとして、査定額が30万円しか上がらなければ赤字となり、むしろ損をしてしまうケースもあります。
雨漏りや壁・床の劣化などは簡単に修繕しておくほうが有利な場合もありますが、リフォームを検討する際は不動産会社に相談してからにするのが無難です。
5.家のアピールポイントや自分の希望を伝える
査定を受けるときは、希望条件と家の強みを伝えることもポイント。「〜月までに売りたい」「〜万円以上で売りたい」など希望があると、不動産会社が最適な売却計画を立てやすくなります。
また、耐震工事や防音性の高さなども積極的に伝えておくと、購入希望者へのアピールになり、高くスムーズな売却につながりやすくなるでしょう。
家の無料査定で起こりうるトラブルとは

家の査定は無料で手軽にできますが、以下のような思わぬトラブルに発展することもあるため注意が必要です。
- ・営業電話がしつこくかかってくる
- ・相場とかけ離れた高額査定を提示される
一括査定サイトを利用した場合、複数社から一斉に電話がかかってくることがあります。営業電話に悩まされるときは、「まだ検討中」とはっきり伝えることが大切です。
また過度な高額査定は、前述したように契約を取るための「釣り査定」の可能性があるため、査定金額の根拠を必ず確認しましょう。
家の査定依頼前に確認しておきたいこと5つ

スムーズな査定とその後の売却につなげるには、事前にいくつか確認しておくことが大切です。ここでは査定前に確認しておきたい5つのことを紹介します。
1.住宅ローンの残高
査定前に必ずチェックしておきたいのが、住宅ローン残高です。家を売却する場合、ローンが残っていれば売却代金で一括返済する必要があります。
残高を正しく把握していないと、売却価格で返済しきれないリスクが生じることも。売却後に慌てないよう、事前にローン残高はチェックしておきましょう。
2.家の修繕履歴
査定ではこれまでの修繕履歴が重要な判断材料になるため、事前に確認しておくのがポイントです。シロアリ予防や外壁塗装、耐震工事などは建物の管理状態を示し、大切に使ってきた証として査定にプラスに働きます。余裕があれば、「いつ・どんな修繕をしたか」を一覧にしておくのもよいですね。
3.査定額の相場
査定を依頼する前に、ざっくりとでも売却相場を調べておくことが大切です。相場を知ることで、不動産会社の提示額が適正かどうか判断でき、不当に安く売ったり、根拠のない高額査定に惑わされたりするリスクを避けられます。
相場は以下のサイトから調べることが可能です。
・国土交通省「不動産取引価格情報検索」
・不動産流通機構「レインズ・マーケット・インフォメーション」
4.必要書類
査定前に必要書類を準備しておくと、売却時の手続きがスムーズです。
【戸建ての主な書類】
- ・土地の実測図や境界確認書
- ・建物の設計図書
- ・建築確認済証や検査済証
【マンションの主な書類】
- ・分譲時のパンフレット
- ・管理規約や使用細則
上記が手元になくても査定は可能ですが、書類がそろっているほど査定の精度は高まります。
5.土地の境界線
戸建ての場合、土地の境界線が明確かどうかで査定額に大きく影響します。境界が不明確だと、将来トラブルになるリスクと判断され、査定額が下がる要因になることも。
もし未確定であれば、査定の段階で「これから確定する」と伝え、売却までに測量・確定すれば問題ありません。
家の査定依頼|よくある質問

ここでは、家の査定依頼に関するよくある質問に回答します。
家の査定前に掃除はしておくべき?
家の査定前の徹底的な掃除は不要です。査定では築年数や立地などの条件が重視されるため、室内をきれいにしたからといって査定額が上がるわけではありません。
ただし極端な汚れはマイナス印象につながることがあるため、常識の範囲で片付け・掃除をしておくとよいでしょう。
家の査定だけの依頼でも大丈夫?
家の査定だけを依頼することも可能です。査定を受けたからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
ただし不動産会社は売却を前提に話を進めることが多いため、「売却予定はないが価値を把握したい」と最初に伝えておくと安心です。
家の査定依頼における注意点を理解し、自分に合った不動産会社を選ぼう

家の査定を依頼する際は、複数社の結果を比較し、査定額を鵜呑みにしないことが大切です。各社の対応を判断する機会でもあるため、よく見極めて自分に合った不動産会社に売却を依頼しましょう。
査定をはじめ、家の売却に関するご相談は住栄都市サービスまでぜひご相談くださいね。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

