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マンションの名義変更とは|4つのケースや必要書類、費用、自分でできるか解説

2025.09.09

マンションの名義変更とは、法務局が管理する登記簿に記載されたマンションの所有者名を変更する手続きのことです。ただ、具体的にどんな場面で必要なのか、何をすべきかわからない方も多いでしょう。

本記事では、マンションの名義変更が必要になるケースや準備する書類、費用まで解説します。自分でできるか不安な方は、ぜひ最後までご覧くださいね。

マンションの名義変更とは

マンションの名義変更とは、登記簿上に記載されている所有者の名前を、新たな所有者に変更する手続きのこと。所有者移転登記とも呼ばれ、法務局で申請します。不動産は法務局が管理する登記簿によって所有者が明確にされていて、登記をしてはじめて第三者に対し「自分のものだ」との主張が可能です。

マンションの場合は「区分建物」として登記されており、1戸ごとに専有部分の情報が記載されています。さらに、建物だけでなく「敷地権(土地の権利)」も一体となっているケースが多く、この場合は土地と建物の名義をまとめて変更する必要があります。

マンションの名義変更が必要なケース4つ

マンションの名義が変わるタイミングとして、不動産売買・遺産相続・生前贈与・財産分与が考えられます。これらのケースに該当しマンションの所有者が変わる場合は、名義変更の手続きをしましょう。

1.不動産売買

マンションを売買したときは所有者が変わるため、登記簿の名義も変更が必要です。通常は代金の支払いと引き渡し日にあわせて行われます。手続きは仲介する不動産会社が提携する司法書士が対応するのが一般的で、買主や売主が自分で手配する必要はほとんどありません。

なお、買主がローンを利用する場合は、同時に金融機関に対する抵当権の設定登記も必要。専門性の高い手続きのため、基本的には司法書士に依頼する流れとなります。

2.遺産相続

マンションの所有者が死亡したときは、その不動産を相続人へ引き継ぐための名義変更が必要です。これを相続登記といい、相続人が申請します。

名義変更を放置すると、将来の相続で関係者が増えて話し合いが難しくなったり、相続人が認知症になったりするなどして手続きが困難になるリスクも。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に手続きをしないと過料の対象になる可能性もあります。

相続が発生したら、なるべく早めに名義変更を進めることが大切です。

3.生前贈与

生前贈与とは、所有者が生きているうちにマンションなどの遺産を他人に無償で譲ることです。所有者が変わるため、名義変更が必要になります。例えば、親から子へ名義を変更するケースなどが該当します。

生前贈与は相続税対策になりますが、トラブルにもなりやすいため贈与契約書を作成するのが有効です。また贈与をすると受遺者には贈与税がかかります。ただし、一定条件を満たせば節税につながる特例を受けられる場合もあるので、事前に確認するとよいでしょう。

4.財産分与

離婚の際、夫婦が共同で築いた財産を分け合う財産分与によって、マンションの名義を変更するケースがあります。例えば、共有名義のマンションをどちらか一方の名義に変更したり、夫から妻に名義を移したりといった形です。

住宅ローンの残債がある場合は、ローンを支払い続ける側が名義人になるのが一般的。ただしローンの引き継ぎには金融機関の承認が必要なため、返済能力などによっては名義変更ができないケースもあります。

なお、婚姻関係にないパートナーとの共有名義解消や財産引き継ぎは、財産分与ではなく売買や贈与として扱われるため注意しましょう。

【ケース別】マンションの名義変更に必要な書類

マンションの名義変更には、ケース別に主に以下のような書類が必要です。

主な必要書類
不動産売買による名義変更 ・登記申請書
・売買契約書
・固定資産評価証明書
・売主の印鑑証明書
・買主の住民票
・本人確認書類など
遺産相続による名義変更 ・登記申請書
・被相続人の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・固定資産評価証明書
・相続関係説明図
・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・本人確認書類など
生前贈与による名義変更 ・登記申請書
・贈与契約書
・固定資産評価証明書
・贈与者の印鑑証明書
・受贈者の住民票
・本人確認書類など
財産分与による名義変更 ・登記申請書
・離婚協議書や離婚判決書
・固定資産評価証明書
・戸籍謄本
・名義人の印鑑証明書
・本人確認書類など

マンションの名義変更にかかる費用

マンションの名義変更にはいくつかの費用がかかります。何をどのくらい負担する必要があるのか確認しておきましょう。

登録免許税

登録免許税とは、名義変更をする際に法務局へ納める税金のことです。不動産の固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算されます。なお、税率は名義変更理由によって以下のように異なります。

  • ・相続:0.4%
  • ・売買・贈与・財産分与:2.0%

例えば、評価額1,000万円の物件を贈与した場合、登録免許税は20万円です。なお、特例を受けられると税率が軽減されることもあるため、適用条件などを確認しておくとよいでしょう。

印紙代

名義変更の手続き自体には印紙代は不要です。ただし名義変更に必要な書類である贈与契約書や売買契約書を作成する際に、収入印紙が必要になります。印紙代は契約金額によって変動しますが、1万円〜数万円程度が目安です。

必要書類の取得費用

前述のとおり、名義変更の際は、市区町村や法務局でいくつかの証明書を取得する必要があります。主な取得費用は以下のとおりです。

  • ・登記事項証明書:600円
  • ・戸籍謄本:450円
  • ・住民票:300円
  • ・印鑑証明書:300円
  • ・固定資産評価証明書:400円

ケースによって必要な書類は異なりますが、数千円〜3万円程度で収まるのが一般的です。

司法書士報酬

司法書士報酬は、名義変更の手続きを司法書士に依頼した場合にかかる費用です。依頼内容や地域にもよりますが、5〜15万円が相場です。

相続関係が複雑だったり、特殊な書類作成が必要だったりする場合はさらに金額が上乗せされることも。複数の司法書士事務所で見積もりを取ることで、安心して依頼先を決められます。

名義変更後にかかる税金

名義変更後にも、ケースによって発生する税金があります。

  • ・相続の場合:相続税
  • ・贈与の場合:贈与税+不動産取得税
  • ・売買の場合:譲渡所得税+不動産取得税

不動産取得税は、原則として固定資産税評価額×0.3%で計算されます。これらの税金は条件によって変動するため税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。なお、相続の場合は不動産取得税はかかりませんが、遺言で法定相続人以外に遺贈する場合や死因贈与契約の場合は受贈者が相続人であるかにかかわらず課税されます。

マンションの名義変更は自分でできる?

マンションの名義変更は自分でも行えます。ただし、手続きが複雑なケースでは書類不足や記入ミスなどが起こりうるため、司法書士に依頼するのが無難です。自分でやるのかプロに依頼するのか、状況に合わせて判断しましょう。

自分で手続きも可能

名義変更手続きは、時間と手間をかければ自分でも行えます。特に手続きが比較的シンプルなケースでは、司法書士報酬を節約できるため費用を抑えたい人にとってはメリットがあります。

ただし、書類不足や記入ミスがあると、提出しても法務局で却下されたり修正を求められたりすることに。また書類の取得や申請は平日の日中に行わなければならず、時間的な負担もかかります。特にマンションは土地と建物が分かれて登記されているケースもあり、慎重な確認が必要です。

難しい場合は司法書士へ依頼しよう

手続きに不安がある場合や、相続人が複数いる・共有名義の解消が必要といった複雑なケースでは、司法書士に依頼するのが安心です。依頼費用はかかりますが、書類の収集から登記申請まで一括で任せられ、ミスなくスピーディに手続きを完了できます。

「不備を出したくない」「時間が取れない」「初めてで不安」という人は、初回相談無料の司法書士事務所も多いので、まずは相談してみるとよいでしょう。

マンションの所有者が変わったら、必ず名義変更手続きをしよう

不動産売買や遺産相続などによって、マンションの所有者が変わった場合は、法務局での名義変更手続きが必要です。必要書類やかかる費用は、名義変更が必要なケースによって異なります。自分で手続きすることも可能ですが、状況に応じて司法書士の力を借りるとよいでしょう。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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