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瑕疵物件とは|4つの種類と告知義務、売却のコツや注意点をわかりやすく解説

2025.09.09

瑕疵物件(読み方:かしぶっけん)とは、品質や性能に欠陥や不具合がある物件のことです。瑕疵には4種類あり、売却・賃貸の際には買主・借主に対する告知義務があります。

本記事では瑕疵物件を売却する際に知っておきたい基本や売却のコツ、注意点をわかりやすく解説します。リスクを理解したうえで適切に売却したい方は必見です。

瑕疵物件とはどういう意味?

瑕疵物件とは、本来備わっているべき品質や性能に欠陥や不具合がある不動産のことです。雨漏りや構造の問題といった物理的な欠陥だけでなく、周辺の騒音や異臭、いわゆる事故物件といわれるような心理的抵抗を感じる要因も含まれます。「訳あり物件」と呼ばれることもあるでしょう。

瑕疵を把握せずに売却するとトラブルに発展することもあるため、あらかじめ買主に伝えることが大切です。

瑕疵物件の種類4つ

瑕疵には4つの種類があります。ここでは各瑕疵物件の特徴を理解しておきましょう。

1.物理的瑕疵物件

物理的瑕疵物件とは、建物や土地そのものに欠陥や損傷がある物件のことです。例えば、以下のようなものが該当します。

【建物の場合】

  • ・雨漏り
  • ・壁のひび割れ
  • ・シロアリ被害
  • ・耐震強度不足
  • ・配管の破損

【土地の場合】

  • ・地盤沈下
  • ・土壌汚染
  • ・地中の廃棄物埋設

なお、日常生活による床や壁の小さな傷や摩耗は通常損耗とされ、瑕疵には含まれません。

2.心理的瑕疵物件

心理的瑕疵物件とは、過去の出来事などが原因で、契約者に心理的な抵抗や嫌悪感を与える物件のことです。例えば自殺や他殺、事故死があった物件が該当します。

心理的瑕疵には明確な法的基準がなく、人によって感じ方が異なるため判断が難しいのが特徴です。設備や構造を修繕すれば解決できる物理的瑕疵と違い、改善が難しくトラブルになりやすいといえます。

3.環境的瑕疵物件

環境的瑕疵物件とは、周辺環境が原因で住みづらさや不快感を与える物件のことです。例えば、以下のような状況が挙げられます。

  • ・工場やゴミ処理場からの悪臭・騒音・振動
  • ・高速道路や線路の近接による騒音や揺れ
  • ・日照や眺望を妨げる高層建築物の新設
  • ・火葬場・墓地・刑務所・宗教施設・風俗店・反社会的勢力の事務所が近隣にある

環境的瑕疵は心理的瑕疵同様、感覚的で個人差が大きいため判断が困難です。

4.法的瑕疵物件

法的瑕疵物件とは、法律上の制約や規制のために、契約上の用途や目的に沿って利用できない可能性がある物件のことです。建築基準法、消防法、都市計画法などに違反している場合が典型例。例えば、以下のような物件が該当します。

  • ・建ぺい率や容積率の制限を超えている
  • ・接道義務を満たしていない
  • ・消火器やスプリンクラーなどの防火設備が未設置
  • ・市街化調整区域での無許可建築

法的瑕疵かどうかを確認するには、自治体や不動産会社へ問い合わせるとよいでしょう。

瑕疵物件の告知義務とは

瑕疵物件を売買・賃貸する場合、売主・貸主には買主・借主への告知義務が発生します。ここでは、告知すべき内容や方法、告知期間について解説します。

告知内容

瑕疵物件を売却・賃貸する際は、契約者に物件の欠陥や問題点を正確に伝えることが大切です。告知の具体的なルールは定められていませんが、一般的には以下の内容を伝えます。

  • ・瑕疵の種類や内容
  • ・発生した時期
  • ・物件のどの部分に瑕疵があるか
  • ・生じる可能性のある影響

なお心理的瑕疵については、国土交通省のガイドラインにより、自然死や日常生活の不慮の死などには告知義務は発生しません。

告知方法

瑕疵物件の告知方法は、主に3通りあります。

  1. 1.契約書への記載
  2. 2.重要事項説明書への記載
  3. 3.覚書の作成

書面で伝えるだけでなく、対面での説明もあわせて行うと確実です。

告知期間

瑕疵物件の告知期間には明確な法律上の決まりはありません。ただし心理的瑕疵物件の場合は、国土交通省のガイドラインで、発生からおおむね3年間は告知することが推奨されています。

とはいえ、告知の必要性は、社会的影響の大きさによっても変わります。例えば、事件性の高い事故や報道されるほどの出来事があった場合は、3年以上が経過していても契約者に伝えることが望ましいでしょう。

ケースによって判断が異なるため、不安な場合は弁護士や不動産会社に相談すると安心です。

瑕疵物件の告知義務を果たさないとどうなる?

瑕疵物件であることを買主に伝えずに契約を結ぶと、売主は「契約不適合責任」を負う可能性があります。契約不適合責任とは、契約した物件が契約内容と異なる場合に買主の請求に応じる責任のことです。

例えば、告知されないまま購入した物件に瑕疵があった場合、買主は修繕や代金の減額、契約解除や損害賠償を求めることが可能です。告知義務を怠ると金銭的な損失やリスクが高まるため、瑕疵は正確に伝えましょう。

瑕疵物件を売却するコツ3つ

瑕疵物件は敬遠されがちで、そのままではなかなか売りにくいことが多いもの。そこで、清掃やリフォームをしたり、更地にしたりすることで成約に繋げやすくなる場合があります。どうしても売れない場合は、買取業者に依頼するのも一つです。

1.清掃・修繕・リフォームをする

瑕疵物件を売却するには、物件の印象をできるだけ良く整えることが大切です。雨漏りや劣化など物理的な欠陥がある場合は、修繕工事をして瑕疵を解消するとよいでしょう。

心理的瑕疵の場合は、特殊清掃やリフォームを行い、できるだけ事故の痕跡を消すことが有効です。立地条件と状態がよければ、瑕疵物件でも売却できる可能性が高まります。

2.更地にする

建物を解体して更地にすることで、売却しやすくなるケースもあります。建物がなくなれば「事故が起きた場所」という印象が薄れるため、買主は購入を検討しやすくなります。

ただし解体費用として、住宅規模にもよりますが150万円前後が必要になるうえ、建物がなくなることで固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性も。解体後に高値で売却できる見込みがある場合は有効ですが、慎重に検討しましょう。

3.瑕疵物件を得意とする買取業者に依頼する

そもそも瑕疵物件は一般の買主にとって敬遠されやすく、通常の仲介では売却までに時間がかかることがほとんどです。そのため、瑕疵物件を専門に扱う買取業者への売却がおすすめ。

実績が豊富な買取業者なら高確率で売却でき、短期間で現金化できます。また契約不適合責任が免責されるため、安心して売却できる点もメリットです。ただし売却価格は市場価格よりも低くなるため、「できるだけ早く安全に売りたい」と考えている人に向いています。

瑕疵物件を売却する際の注意点

瑕疵物件を売却する際は、価格が安くなる傾向にあることを理解し、瑕疵を隠蔽したり告知を怠ったりしないようにすることが重要です。また、独断でのリフォームや解体は避けましょう。

1.売却価格は安くなる傾向がある

瑕疵物件は一般的な物件と比べて敬遠されやすく、市場価格より安く取引されるのがほとんどです。相場としては市場価格の50〜80%程度に収まるケースが多く、2〜3割値下げしないと買主が見つかりにくいといわれています。

買主の立場からするとわざわざリスクを抱えている物件を購入する理由はないため、価格面でのメリットを感じてもらえるようにすることが必要です。

2.瑕疵を隠したり告知を怠ったりしない

瑕疵物件を売却する際、瑕疵を隠蔽したり告知を怠ったりしないように注意しましょう。告知しなかった場合、後から買主が欠陥を発見すれば、前述のとおり契約不適合責任を問われます。

特に床下のシロアリ被害や土壌汚染といった「隠れた瑕疵」は外から見えにくくトラブルの原因になりやすいため、事前に調査を行うことが大切です。

3.独断でリフォームや解体をしない

瑕疵物件の売却にあたり、自己判断でのリフォームや解体は避けましょう。心理的瑕疵や環境的瑕疵などは、建物を直したり壊したりしても解決しない場合もあり、告知義務も残ります。

多額の費用を投じても、買主が見つからなければかえって損失になるでしょう。費用対効果を検討し、不動産会社に相談して判断することが重要です。

瑕疵物件には告知義務がある!売却は買取業者がおすすめ

瑕疵物件には4つの種類があり、どの瑕疵を抱えていたとしても売主・貸主には告知義務が生じます。告知を怠ると契約不適合責任を問われるため、買主・貸主には正確に伝えることが大切。

瑕疵物件は仲介で売却しにくいことも多いため、買取業者に依頼するのがおすすめです。不動産売却のご相談は、住栄都市サービスにお任せください。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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