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離婚後の土地売却はどう進める?財産分与の方法やタイミング、注意点も解説

2025.10.14

離婚に伴い、土地をどうするべきか悩む人は少なくありません。土地は財産分与の対象になるため、所有するのか売却するのか二人でよく話し合う必要があります。

本記事では離婚後に土地の売却を検討している人に向け、財産分与の方法やタイミング、流れを解説。後悔やトラブルを防ぐために、注意点もしっかり押さえておきましょう。

離婚したら土地も財産分与の対象になる?

婚姻後に夫婦で購入した土地の場合、離婚の際に財産分与の対象になります。まずは、財産分与の対象となる土地と例外について見ていきましょう。

原則土地も財産分与の対象

離婚の際、結婚後に購入した土地は財産分与の対象になります。財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を離婚時に分け合う制度のこと。

たとえ土地の名義が片方だけであっても、家事や生活費の分担など共同生活の実態があれば、共有財産として扱われます。一方、婚姻前に取得した土地は分与の対象とはなりません。

財産分与の対象にならない例外もあり

先述のとおり、離婚時にすべての土地が財産分与の対象になるわけではありません。独身時代に購入した土地や相続、生前贈与で取得した土地などは、個人の所有とみなされる「特有財産」にあたり対象外です。

また、共有財産であっても、ローン残高が土地の評価額を上回るオーバーローンの場合、その土地には実質的な資産価値がないとみなされ、財産分与の対象にはなりません。土地を財産分与する際は、婚姻後に取得しており、価値がプラスであるかどうかがポイントです。

土地を財産分与する方法は2つ

土地を財産分与するには、一人が所有して相手に代償金を支払うか、土地を売却した金額を二人で分ける方法があります。それぞれ解説していきましょう。

1.一人が所有し、相手に代償金を支払う

土地を財産分与する方法の一つに、一方が土地を取得し、もう一方に代償金を支払う方法があります。これは夫婦のどちらかが土地を活用したい場合に適した方法です。

一般的に財産分与は折半が基本のため、土地の評価額の半分を代償金として渡すケースが多いでしょう。評価額については、不動産会社などの専門家に相談すると安心です。

なお、名義人でない方が土地を所有する場合は、土地の名義変更(所有権移転登記)が必要です。

2.土地を売却し、その金額を二人で分ける

土地を売却して現金化し、その代金を分け合う方法もあります。ローン残額が少ない場合は、売却によってまとまった資金が得られるため、離婚後の安心にもつながるはず。

土地を現金化するには、不動産会社に仲介してもらい、買主を見つけて売却するか、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。すぐに売却できなければ財産分与も進められないため、方法は事前に相談しておくことが大切です。

離婚による土地売却の適切なタイミングは?

土地の売却は、売却活動により集中できる離婚後がおすすめです。ここでは、土地を売却するタイミングについて解説します。

離婚後がおすすめ

土地の売却は、離婚成立後に行うのがおすすめです。離婚手続きがすべて終わった状態になるため、売却手続きの負担や精神的ストレスが少なくなります。売却活動に集中できることで、より高値での売却につながったり、土地の名義やローン状況が整理しやすかったりする点もメリット。

ただし、売却に時間がかかると、固定資産税やローン支払いを継続することになるため、手続きはなるべくスムーズに進めることが大切です。

離婚前にするとどうなる?

離婚前の土地売却は得策ではありません。離婚する前に土地の売却代金を分けると、夫婦間での財産移動が贈与とみなされ、贈与税の課税対象になる可能性があるからです。例えば、共有名義の土地を売却して持分に応じた代金を取得する場合は贈与にはなりませんが、夫婦一方の単独名義の土地を売却して、名義を持たない方が代金を受け取るケースが該当します。

「離婚後のトラブルを避けたい」「離婚後に元配偶者と連絡を取りたくない」という方には適した選択肢です。

離婚で土地を売却する際の流れ

土地を売却する流れは以下のとおりです。なお、この流れは離婚時でもそうでない場合でも変わりません。

  1. 1.不動産会社に査定を依頼する
  2. 2.不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 3.買主と交渉して売買契約を結ぶ
  4. 4.決済と引き渡しを行う

1.不動産会社に査定を依頼する

土地を売却するには、まず不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握しましょう。より正確な査定額を知りたい場合は、担当者が土地の状態を直接確認してから算出する訪問査定がおすすめ。

査定額はあくまで目安のため、提示された価格の根拠や周辺の取引事情も確認しておくと安心です。

2.不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、土地の販促活動を正式に依頼する契約のこと。不動産会社に直接買取を依頼する場合は、媒介契約ではなく売買契約を締結します。

3.買主と交渉して売買契約を結ぶ

媒介契約後、不動産会社により売却活動が行われます。購入希望者が現れたら、契約前に価格や条件について、不動産会社を通して買主と交渉しましょう。交渉内容がまとまったら、買主と売買契約を結び、手付金を受け取ります。

4.決済と引き渡しを行う

売買契約をしたのち、残代金の受け取りと土地の引き渡しを行います。ローン残額がある場合は、売却金額から一括返済したうえで抵当権の抹消が必要です。手元に残った金額は、事前に決めた割合で分け合います。

離婚で土地を売却する際の注意点4つ

土地の売却は名義人しかできず、離婚後2年が経過すると財産分与の請求はできなくなります。離婚で土地を売却する際は土地のローン残額を確認し、トラブル回避のために公正証書を作成するとよいでしょう。

1.土地の売却は名義人しかできない

土地を売却できるのは、不動産登記簿に名義人として記載されている人だけです。夫婦どちらか一方の単独名義であれば、その人の同意がなければ売却はできません。

共有名義の場合は、自分の持分だけであれば売却は可能で、土地全体を売るには共有者全員の合意が必要です。売却手続きを進める前に、名義人は必ず確認しておきましょう。

2.離婚後2年経つと財産分与の請求はできない

財産分与の請求には期限があり、離婚成立から2年以内に行わなければ権利が消滅してしまいます。たとえ土地やその他の財産が残っていても、2年を過ぎると分けることを求められなくなるため注意が必要です。

土地の売却には数ヶ月から1年以上かかるケースもあります。土地を現金化してから分ける場合、離婚が成立したらできるだけ早く売却や分配の手続きを進めることが大切です。

3.土地のローン残額を確認する

土地を売却する前に、ローン残額がどれくらいあるかを確認することが重要です。売却代金でローンを完済できるアンダーローンの場合は、残った金額を財産分与に回せます。

一方、土地を売却してもローンを返しきれない場合、前述のとおり、そもそも財産分与の対象にはなりません。この場合はローンの名義人が返済義務を果たす必要があります。

4.トラブル回避には公正証書を作成する

離婚に伴う土地の売却や財産分与は、口頭の約束だけだとのちに揉める可能性があります。こうしたリスクを避けるために、公正証書を作成しておくのも一つです。公正証書とは、公証人が権限に基づいて作成する公文書のこと。

夫婦で合意した財産分与の内容を明確に残せて、裁判になった際にも有力な証拠として扱われます。作成には財産の金額に応じた手数料が必要ですが、将来のトラブルを防ぐ安心材料として取り入れるのもよいでしょう。

離婚時の土地は財産分与の対象!売却も選択肢に

夫婦、またはどちらかが所有している土地が婚姻後に取得したものであれば、離婚の際に土地も財産分与の対象になります。このとき、土地の名義人をよく確認し、2年以内に手続きを進めることが大切です。

土地の活用予定がない場合は、売却も視野に検討してみましょう。
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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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