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離婚で家を売却する場合はどうする?事前確認のポイントや注意点

2025.09.24

離婚で家を売却する際は「いつ・どのように売るか」、「住宅ローンや名義はどうするか」など、事前に確認すべきポイントが多くあります。後悔しない売却を進めるためには冷静な準備と判断が大切です。

この記事では、離婚時の家の売却方法や注意点をわかりやすく解説し、スムーズな新生活への第一歩をサポートします。

離婚で家を売却する前に確認しておくべき3つのポイント

離婚にともなって家を売却する際は、感情的な判断ではなく、事前の確認と準備がとても重要です。とくに名義やローンの状況、売却後のお金の扱いについて整理しておくことで、後々のトラブルを防ぎ、スムーズな手続きが可能になります。

ここでは、売却前に必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。

1.家の名義と持分を確認する

離婚時に家を売るには、まず「誰が家を売れるのか」を明確にすることが重要です。家の名義人以外は勝手に売却できず、共有名義の場合は共有者全員の合意が必要になります。名義と持分割合は、登記簿謄本を取得すれば確認が可能です。

また、家が結婚前の個人資産か、婚姻後に購入した共有資産かによって財産分与の扱いも異なります。事前にしっかり確認しておくことで、トラブルを避け、スムーズな売却につながるでしょう。

2.住宅ローン残債の有無をチェックする(アンダーローン・オーバーローン)

住宅ローンが残っている場合、家を売却するにはローンを完済することが原則です。

ローン残債より高く売れるアンダーローンであれば、売却代金で完済できますが、残債が上回るオーバーローンの場合は、任意売却など別の対応が必要になります。

さらに、ペアローンや連帯保証がある場合は、離婚後も債務が継続する可能性があるため、金融機関への確認と今後の返済計画をあわせて進めることが大切です。

3.売却益の分配方法を事前に整理する

家の売却によって得られたお金は、原則として夫婦で半分ずつ分け合う財産分与の対象になります。ただし、離婚時の取り決めや双方の合意内容によっては、分配の割合を変更することも可能です。

売却益を現金化して分ける方法は、財産の整理がしやすく、金銭面のトラブルを避けやすいというメリットがあります。ただし、オーバーローンの場合は売却益が出ず、手元にお金が残らないこともあります。

どのように分けるかを事前に話し合い、可能であれば書面化しておくと安心です。

離婚時に家を売却するタイミング

離婚にともなう家の売却では、「いつ売るか」が大きなポイントになります。離婚前と離婚後では、心理的負荷や税金の面などでメリット・デメリットがあるため、自身の状況に合ったタイミングを見極めることが重要です。

1.離婚前

離婚前に家を売却するメリットは、離婚後に元配偶者と連絡を取る必要がなくなるため、トラブル回避につながる点です。売却益の分配や住宅ローンの清算を離婚前に済ませておけば、離婚後の金銭面の整理がしやすくなります。

ただし、名義とローンの状況によっては、売却益の分配が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。

2.離婚後

離婚後に家を売却する場合は、手続きや生活環境が落ち着いた状態で売却活動に専念できるのがメリットです。

売却のタイミングを見極めて、高値での売却を目指せる余裕が生まれるため、納得のいく取引につながりやすくなります。また、離婚後に得た売却益は財産分与として扱われるため、贈与税の課税対象にはなりません。

ただし、売却が完了するまで元配偶者との連絡が必要になることもあるため、連絡の負担を許容できるかどうかも判断材料になります。

離婚時の家の売却方法|仲介・買取・任意売却・リースバック

離婚時に家を売却するには、状況に応じた方法を選ぶことが重要です。売却にかけられる時間や住宅ローンの残債、住み続けたいかどうかなど、自分に合った方法を見極めることで、トラブルを回避し、納得のいく売却につながります。

時間をかけて高く売るなら「仲介」

少しでも高く家を売りたいなら、仲介での売却が有効です。不動産会社に依頼して買主を探す方法であり、相場に近い価格で売れる可能性が高くなります。

ただし、売却までには平均3ヵ月〜半年ほど時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。売却活動中も住宅ローンの返済や固定資産税の支払いは続くため、資金計画をしっかり立てることが求められます。

離婚後の新生活資金を少しでも多く確保したい方や、時間に余裕のある方には、仲介がおすすめです。

早く現金化するなら「買取」

早く家を現金化したい場合には、不動産会社による買取が適しています。買主を探す必要がなく、最短1週間で契約、1ヵ月で決済まで完了できるため、離婚後の生活資金を急いで確保したい方や、手続きを早く終えたい方に向いています。

ただし、買取価格は一般的に市場価格の6〜8割程度となることが多く、高値での売却は難しい点に注意が必要。「家が売れない」「価格よりもスピード重視」「周囲に知られずに売却したい」場合には、買取という選択肢が安心です。

ローン残債が多い場合は「任意売却」

住宅ローンの残債が売却額を上回るオーバーローンの状態では、任意売却が現実的な方法です。通常、ローンが残っている家は売却できませんが、金融機関の了承を得ることで、競売よりも高値での売却が可能になります。

ただし、任意売却を行うと信用情報に記録され、今後ローンを組む際に影響を及ぼす可能性があるため、その点は慎重に判断する必要があります。

住み続けながら売るなら「リースバック」

離婚後も同じ家に住み続けたい場合には、リースバックという方法があります。家を不動産会社などに売却し、その後に賃貸契約を結ぶことで、売却後も家賃を支払いながら同じ家に住み続けることが可能です。

子どもの転校を避けたい方や、通勤・通学など生活環境を変えたくない方に適しています。

ただし、売却価格は市場価格の7割程度になることが一般的で、住宅ローンの残債が多い場合は完済できるかを事前に確認しておく必要があります。

離婚で家を売却する流れ

離婚にともなう家の売却は、感情的な問題だけではなく手続き面でも慎重な対応が求められます。ここでは、不動産査定から売却完了までの基本的なステップを3段階に分けて解説します。

1.不動産会社に査定を依頼する

離婚による売却を決めたら、まずは不動産会社に査定を依頼し、家のおおよその相場を把握することが大切です。査定は1社に限らず、複数社に依頼することで価格や売却方針の違いを比較でき、高く売れる可能性が高まります。

また、どのような販売戦略が適しているかも見えてくるため、売却活動を効率的に進めるためにも、できるだけ早い段階で査定を依頼しておきましょう。

2.財産分与・分け方の合意を取る

家を売却する前に、夫婦間で売却後の財産分与について明確に合意を取っておく必要があります。分配の方法や割合についての取り決めは、後々のトラブルを避けるためにも非常に重要です。できれば、公正証書等の書面に残しておくと安心です。

話し合いが難航する場合には、弁護士や専門家のサポートを受けながら進めることで、冷静かつ公平に合意を形成しやすくなります。

3.売却活動と契約・決済をする

合意が整ったら、不動産会社と媒介契約を結び、実際の売却活動をスタートします。内覧の対応や価格交渉などを経て買主が決まったら、売買契約を締結し、最終的に決済・引き渡しを行いましょう。

もしも住宅ローンを支払い中の場合は、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。これらの手続きが完了すれば、正式に売却成立となります。

住宅ローンが残っている家を離婚で売却する場合の注意点

住宅ローンが残っている家を売却する際は、通常の売却よりも確認すべき項目や注意点が増えます。特に離婚と絡む場合、法的なルールや手続きの順番を理解しておくことが、後悔のない取引につながります。

財産分与請求は離婚後2年以内に対応が必要

離婚後の財産分与は、原則として離婚成立から2年間のあいだに請求しなければなりません。この期間を過ぎると、たとえ財産分与の対象が残っていて、裁判所に申し立てても基本的に権利は失われます。

もしも離婚時に協議がまとまらなかった場合は、2年以内に家庭裁判所へ調停や審判を申し立てれば、手続き中に2年を過ぎても有効です。売却と同時並行で、財産分与の準備も早めに進めておきましょう。

離婚調停中の売却でも合意は必要

離婚調停中に家を売却することは可能ですが、売却には夫婦双方の合意が必須です。たとえ家が一方の単独名義であっても、調停中であれば「不動産処分禁止の仮処分」が入ることがあり、勝手に売却を進めると調停が長期化したり、離婚手続きそのものが滞ったりする恐れがあります。

こうしたトラブルを避けるためにも、売却前に合意書や公正証書を取り交わし、法的にも売却の可否を明確にしておくことが重要です。

離婚時の家の売却は冷静な準備と早めの行動が重要

離婚時の家の売却は冷静な準備と早めの行動が重要です。状況によっては売却や分与方法が複雑になるケースもあるため、不安がある方は専門家への相談を検討してください。

住栄都市サービスでは離婚時の不動産売却に詳しい専門家が相談を受け付けています。安心して進めたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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