
一戸建てやマンションなどの不動産一括査定は、売却を決めるタイミングにするのがおすすめです。売却は、金利・季節・築年数など、さまざまなタイミングで決められることが多い傾向にあります。
本記事では不動産の一括査定と売却をするタイミング、一括査定する際の流れや注意点、売却にかかる期間を解説します。
目次
不動産の一括査定はいつする?売却を決める5つのタイミング

不動産の一括査定は、売却を決めるタイミングで行われることが多い傾向です。一括査定では、複数の不動産会社に査定してもらえるので、売却の価格相場や不動産会社を選ぶ際の参考になります。
不動産を売却するタイミングとして選ばれやすいのは次のとおりです。
<不動産を売却するタイミング>
- ・住宅ローンの金利が低い時
- ・築年数が浅い内
- ・税金を軽減できる期間内
- ・景気が良い時
- ・春
1.住宅ローンの金利が低い時に売却する
住宅ローンの金利が低ければ売却するタイミングです。金利が低ければ住宅ローンの返済額が減り、金利が高ければ返済額が増加します。買主が物件を購入する際、金利が低いと住宅ローンを組みやすくなるのです。
住宅ローンの金利は日本銀行の金融政策と紐づいています。現在は、2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除したことで、マイナス0.1%だった短期金利が0~0.1%に引き上げられました。長期金利についても政策が変更され、今後緩やかに上昇する見込みです。
2.季節を考慮して売却する
季節を考慮するなら、住み替えの需要が高くなる春に向けて動き出すのがおすすめです。転勤や進学が多くなる1〜3月は不動産を売却するタイミング。この時期は不動産会社の決算時期でもあります。
売却に向けて年末より前から行動を始め、翌年の1月後半頃には購入希望者が決まるよう準備をしましょう。準備が間に合わず時期がずれると、売却時の条件が悪くなる可能性があります。
もしもタイミングがずれそうであれば、次の需要が高まる時期に間に合うよう準備を進めつつ、タイミングを待つのも一つの方法です。
3.築年数が浅いうちに売却する
築年数が古くなる前に不動産を売却するのも良いタイミングと言えます。築年数が古いと、一戸建てまたはマンションの設備や共有部分が老朽化するため、資産価値が下がります。
一戸建ての場合は、資産価値がゼロになる築20年までが売却の目安です。売却の意思があるのであれば、築年数が浅いうちに売却するのが良いでしょう。
築年数が5年以内の場合は税金が高くなることもありますが、メリットも多いです。5年以内の売却を考えている場合は、以下の記事も参考にしてください。
不動産売却を5年以内にすると税金が高い?所有期間が短い物件の売却のコツを紹介
4.税金を軽減できる期間内に売却する
不動産の売却で利益が出そうであれば、税金の特例を受けられる期間に売却するのも1つの方法です。不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生すると、その利益に対して所得税や住民税などの税金がかかります。
税金が軽減できる優遇期間であれば、控除・制度が利用できます。利用できる主な制度は次のとおり。
<3,000万円特別控除>
不動産の売却価格から、取得費と譲渡費用の合計を差し引いた金額で利益(譲渡所得)が発生すると適用できます。
【要件】
- ・マイホームを売却または居住しなくなってから3年後の12月31日までに売却すること
- ・売却した年、前年、前々年に家の買い替えで利用できる「買い替えの特例」を受けていないこと
- ・建物を取り壊して土地だけ売る場合、取り壊してから1年以内に譲渡契約を結び、土地を他の用途に使用していないこと
- ・売却相手が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
- ・併用不可な他の特例を受けていないこと
<軽減税率の特例>
10年以上所有した不動産の場合は、軽減税率の特例も利用できます。こちらは3,000万円特別控除と併用が可能です。
- ・譲渡所得金額が6,000万円まで:4%
- ・譲渡所得金額が6,000万円超え:5%
5.景気の動向を見て売却する
景気の動向によって不動産の売却を決める人もいます。不動産は景気の動向によって変化し、景気が良いと価格相場が上がり、景気が悪いと下がります。購入した金額よりも高い金額で売却できれば利益が発生する可能性も。
景気の動向を見て売却するのであれば、不動産価格の変動がおさまった時が取引のタイミングです。
ただし、不動産の価格相場の変わり目を見定めるのは、プロでも難しいと言われています。もしも景気の動向で売却したいと考えるのであれば、売却のプロである不動産会社に相談しましょう。
不動産一括査定の流れ3ステップ

不動産を売却するタイミングを決めたら不動産の一括査定をしましょう。ここでは不動産の一括査定を行う際の流れを詳しく解説します。
1.不動産の査定に必要な情報を調べる
一括査定をする前に、売却する不動産の査定に必要な情報を確認します。
<必要な情報>
- ・住所
- ・土地面積
- ・建物面積
- ・築年数
- ・間取り
情報が正確にわからない場合は、法務局で登記事項証明書を取り寄せます。手続きは、法務局の窓口・郵送・インターネットでも可能です。査定依頼に必要な情報だけであれば、インターネットで閲覧できる登記情報提供サービスを利用するのも良いでしょう。
不動産情報と一緒に希望価格と売却期間を出しておくと、不動産会社が訪問査定する際にスムーズに進みます。
2.売却する不動産の相場を自分でも調べておく
不動産の一括査定で提示される金額は実際の売却相場とは離れている場合もあります。
一括査定の前に、自分でも不動産の相場を調べておくと、査定額が妥当なのか・売却する価格との差はどれくらいあるのかなど、売却する金額の予測がつきます。
あらかじめ金額の予測をしておくと、依頼する不動産会社の対応力の参考にすることも可能です。一括査定の情報だけを鵜呑みにせず、自分でもある程度調べておくのが安心につながります。
3.不動産の一括査定をする
不動産の情報を確認して、自分でも相場を調べたら一括査定に進みます。
<不動産一括査定の5ステップ>
- 1.不動産一括査定サイトにアクセス
- 2.売却する不動産情報を入力
- 3.個人情報を入力
- 4.依頼したい不動産会社を選ぶ
- 5.不動産会社から電話で査定結果の返答が来るのを待つ
不動産一括査定の後、連絡が来るまで1日〜1週間はかかります。一般的には連絡方法を指定しない限り、電話で連絡がきます。連絡が来たら必ず対応しましょう。
不動産の一括査定をする際の注意点

複数の不動産会社に一括で依頼できる一括査定は、メリットもありますが注意点もあります。一括査定に依頼する際は、不動産価格・不動産会社の対応・売却期間に注意して売却計画を立てましょう。
査定額で売却できるわけではない
不動産の一括査定で提示される金額はあくまでも目安で、実際に売却する金額とは異なります。一括査定では、条件が近い不動産の過去の取引データ・立地条件・インフラの整備情報などをもとに査定額が出されます。
もしも物件に雨漏りなどの欠陥がある場合は、査定額より低い可能性も。買い手がいない場合は売却金額を見直すこともあります。
査定額を高く設定する不動産会社もある
契約しやすくするために、査定額を高めに設定する不動産会社もあります。その金額を信じて実際の価格相場よりも高く設定したために、買い手がつかない事態に陥る可能性も。
もしも査定で高い金額を提示された場合は、その金額の根拠を確認してください。
不動産の売却にかかる期間は平均で3〜6ヵ月
一戸建てやマンションといった不動産の種類や、築年数・立地などの条件によって異なりますが、売却開始から成約に至るまでに平均で3〜6ヵ月はかかります。場合によっては1年以上かかることもあります。
思ったとおりに売却が進まないからと売り急ぎ、安売りすると損をしてしまうことも。不動産の売却には3〜6ヵ月はかかることを考慮して、計画を立てるのがおすすめです。
不動産の一括査定をして売却計画を立てよう

不動産の価格は売却するタイミングによって変わります。複数の不動産会社に一括で査定を依頼することで、売却金額・不動産会社の対応力など売却する際の参考になるでしょう。
査定自体はインターネットで簡単にできますので、自分でも情報を集めつつ、売却計画を立ててみてください。
不動産所有や不動産売却についてのご不安などお聞かせください!
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
